時は宇宙の誕生、ビッグバンまで遡ります。約150億年前に起こった宇宙のはじめの大爆発により超高温・高密度の状態から急膨張しはじめ、急激な温度降下の過程で素粒子を生成し宇宙ができます。
Wikipediaより引用
このときに各素粒子が出揃います。
今からおよそ50億年前、太陽系に星はありませんでした。薄い水素のガス星雲だったのです。そんな空間に、ガスやチリが集まる中心部で密度が高くなり
大きなガスの渦巻きが発生しました。やがて水素がヘリウムに変わり、核融合が発生して太陽が生まれました。
※太陽は燃えているのではなく、核融合反応によって熱や光を発し続けている
恒星は核融合を続けることによりエネルギーを放出するが、核融合では原子番号26元素のFeまでしか作り出せません。言い方を変えれば、毎秒5億6千万トンもの水素を核融合し、ヘリウムを作り出しているのに鉄より重い元素「金」等は生まれないことになる。
・金の比重:19.32g/cm3
・純プラチナ:21.45g/cm3
・鉄の比重:7.85g/cm3 ※比重が1より小さいと水に浮く
比重が4-5以上の金属元素を「重金属」といいます。簡単に言えば鉄より比重が重い金属です。
星の終わりを告げる超新星爆発。ちなみに爆発の仕組みには大きく分けて2種類あります。
・T型超新星:白色矮星が周りの物質を取り込みながら重くなって爆発
・U型超新星:核融合の燃料を使い果たして、星の圧力が下がり重力に押しつぶされて爆発
今までは超新星爆発によって金などの重金属が生成されるといわれてきました。これでは重金属が発生するためのエネルギーが足りないのですが、他に証明できる根拠が無かったのです。
しかし、 2017年の夏 中性子星同士が衝突して「キロノバ」と呼ばれる 爆発を起こし、可視光で観測できるこうした爆発によって 引き起こされる重力波が初めて観察されました。
これにより重金属を生成する十分なエネルギーを放出することが わかりました。
[重力波]
1916年にアルベルト・アインシュタインによって予言された 重力波は、一般相対性理論にもあり ブラックホールの衝突や中性子星の合体等で時空を伸び縮み
させるほどの激しい高エネルギー現象のことをいう。
砂金と聞くと川で採れると思いますよね。一概にそうではないのです。それをこれから紐解いていきましょう。
生成過程にはいくつかのパターンがありますが、基本的なものだけをご紹介します。 地球の内部にはマグマが流れています。 これは地下で高温で溶融している造岩物質のことをいいます。 冷えて固形化したものを火成岩といいます。 地中深くで熱せられた地下水は超臨界状態で高温に達し 周囲の岩石と化学反応をおこすため、互いの成分が変化して 岩石の成分が熱水に溶け込みます。ここで金や銀のイオンが 溶け込みます。
中熱水金鉱床 | 浅熱水金鉱床 | |
熱水の温度 | 300〜400℃ | 200〜300℃ |
地中の深さ | 約3〜5km | 地表面〜約1km |
金粒の大きさ | 大きい | 小さい |
特 徴 | 金の純度が高い | 銀を多く含む |
やがて熱水は岩盤の隙間から上昇することで冷却、減圧されると熱水中に溶け込んでいた成分が科学的に沈殿し、熱水鉱脈ができます。この沈殿物に金属などの有用成分が多く含まれていれば熱水鉱床(海底熱水鉱床)と呼びます。
ここでいう金属とは、銅や鉛、マンガンやコバルト、金、銀などです。
また、金を多く含んだ鉱床は金鉱石と呼ばれています。
熱水鉱床から採れる金のことを一般的に「山金」と呼ばれています。山金は金鉱石を粉砕し、特殊な技法を用いて金を取り出します。稀に金鉱石の脈中から金結晶が目に見えるものもあります。とても希少で美術品として取引きされます。
ご覧のように石英と金は同一場所で結晶になりやすくしばしば石英を母岩とした天然金がみられます。
稀に金鉱石の脈中から写真のように結晶金が採取できる場合もありますが、現在では希少品で美術品として取引きされます。
川は氾濫や増水を繰り返し曲がりくねり山肌を削っていきます。流れを変えながら削り取っていくため、河川の周りには段差ができます。これを「河岸段丘」といいます。こうして金鉱脈は露出して川の流れや風雨で表面が削られ、金が剥がれ落ちていきます。
露出した金鉱脈内の金は「山金」(岩金)と呼びます。(鉱脈露頭)そこから剥がれ落ちた金を「柴金」(芝金)と呼びます。川底にたまったものが砂「川金」と呼びます。通称「砂金」です。
金鉱脈に近いほど結晶状になっていますが、下流に流されるに従い丸みを帯びてきます。形状や純度による色の違いで、産出地の特徴が現れます。
金の多くは川底で発見されます。加工しやすく腐食しないため古代から重宝されてきました。昔はまだ大粒の砂金が有ったため、川の流れに負けずに同じ場所にとどまるが、砂や小石は流れていく。これを見て金が重いことが分かったのでしょう。砂金を採る道具がたくさん生まれました。
有名なものに「ゆり板」や「ねこ(ねこだ)」があります。
■岩手県住田町民俗資料館にて
「ねこ」
あらかじめ川底に沈めて固定し、集めた川砂をかねザルを通して上に流し 砂金を採取した道具。ねこ流し法ともいう。昔はこんなに荒い目でも砂金が採れた
■岩手県住田町民俗資料館にて
「かねザル」
ねこ等に流す前に大きな砂利を除去するザル。川底を見ながら杉ヤニを付けた棒で砂金を拾う方法もある。杉ヤニは使わないが現代でもメガネ堀りとして行われている。
■岩手県住田町民俗資料館にて
「水めがね」
水中の岩盤の割れ目などにある砂金を見つける道具。
■岩手県住田町民俗資料館にて
「ゆり板」
静水の中で板を揺らしながら砂利を洗い流し、残った比重の重い砂金を採取する道具
どれも比重が重い金を採る(比重選鉱という)方法です。川底の砂を効率よく採り出す「カッチャ」も生まれました。
■写真は当店オリジナルカッチャ
やがて人々は「金はどこからくるのか」と考え、やがて金鉱脈を見つけて露頭採りをするようになります。露頭採りとは地表に近い山肌の鉱脈を砕いて採取する方法です。
ここで採れた金鉱石の中から金を取り出す方法が生まれます。
【粉成 こなし】
1.熟練者によって金鉱石の良いものを選別する
2.金鉱石を焼いてもろくし、つるはしや「かなめいし」を使って粉砕する
3.石を砕き、臼(うす)で粉にする
■岩手県住田町民俗資料館にて
写真右上が上臼、左下が下臼。上臼に棒を取り付けて回し金鉱石をすり潰す
4.粉に水を混ぜ、泥上にしてから「セリ板」に流し、底に刻み込んだ溝に金粒が溜まる。
※現代のスルースボックスである
5.水をためた大きな水槽「フネ」の中で「ユリ板」や「ゆり盆」を用いて不純物を洗い流し、金を採取する。
※現代のパンニング皿のようなものである
■岩手県住田町民俗資料館にて
「ゆり盆」
これも砂金の比重を利用して採取する道具
【灰吹 はいふき】
自然金の中には鉄などの不純物が混ざっているため、これらを取り除き、純度を上げる作業を行う。
1.るつぼに松葉灰や骨灰を入れ、和紙と鉛で包んだ金粉を乗せる
2.木炭の上にるつぼを置いて、手ふいごで送風して高温にすると
約1064℃で金は溶け始める
■岩手県住田町民俗資料館にて
金を溶かす「るつぼ」
3.るつぼの中で溶けた金と鉛の合金の表面に空気を吹き付ける
4.鉛や不純物は酸化して灰の中に染み込み、上に金が残る
■岩手県住田町のとある民家の庭先にて
「挽臼」
今でも岩手県住田町ではこのようにして庭先に利用されている。家の基礎石としても使われているから驚きである。
現在は道具こそ近代的になったが、基本は同じである。当店ホームページを参照していただきたい。
水銀を使ったアマルガム製法もあるが、世界中で河川土壌を汚染して問題になっているため、ここでは説明を省略する。
天平17年に開始された奈良の東大寺の建立の際、金が不足していました。そんな折、陸奥国(現在の岩手県、宮城県などの東北地方)から金が献上され、当時の聖武天皇が喜び、元号を「天平」から「天平感宝」に改元したとされている。ちなみに東大寺の大仏に使われた金は約400キロという。
西暦1124年
・岩手県平泉町に「中尊寺金色堂」完成
黄金の国ジパングとは1271年から1295年ころにイタリア人の
マルコポーロが書いた「東方見聞録」からきていると
いわれている。
西暦1900年
・北海道浜頓別で769グラムの自然金が発見される
西暦1904年
・宮城県 鹿折金山(ししおりきんざん)にて2.25キログラムのモンスターゴールドが採掘される。アメリカセントルイス万国博覧会に出品し、再び「黄金の国ジパング」の名を世界に示した。
著:あおい商店 山本有一